今日から特許の楽校のストーリー編が遂にスタートです。
物語を読み進めながら特許の知識を学べますので、ぜひ楽しくご覧ください。
このお話で学べること
- 研究者の役割ってなに?
- 特許ってなに?
- なんで特許が研究者にとって大切なの?
こんな疑問ありませんか?
新たちと一緒に楽しく学んでいきましょう!
本編
ここはとある文房具メーカーの研究開発部。
革新的なヒット商品を数多く出す今注目の会社です。
ただいま次の商品開発に向けての会議中・・
私達の強みは斬新な商品を次々と送り出す研究開発の力です。
そこで、新商品開発プロジェクトを立ち上げます。
パチパチパチ(拍手)
今回は全員にチャンスがあります。
アイデアは応募性にするので、ぜひ皆チャレンジして下さい。
・・・
会議終了後・・・
お疲れ、新。
会議中随分浮かない顔をしていたな。どうかしたか?
!!
朔さん!!いや、その・・・
朔は新にとっての上司。
これまでエース商品の数々を手掛けてきたスーパー研究者。
新は朔に憧れてこの会社に入って来た。
・・・
実は僕入社して3年も経つのにまだ一つも商品になってないんですよ。
今回のプロジェクトもどうせ僕には無理です。
面接官として新の採用を決めたのは他でも無い朔だった。
新は面白いところに目が付く・・・キラリと光るアイデアを持っていることを知っていた。
ところが確かに入社してから目立った成果は出ていない。もしやと思った朔は・・・
新さ…
特許のことって分かるか?
どうしたんですか急に?
正直難しくて分かりません。
うちには特許部もありますし専門家がやることですよね?
なるほどな…よし
特許部に俺の同期の瑛大ってやつがいるから、そこで特許のこと教えてもらってこい。話は通しておくよ。それじゃな。
え、ちょ待っ!
朔さん!
そんなこんなで訳も分からず特許のことを学ぶことになった新。
朔の思惑とは・・・。
憧れの朔の言うことでもあり、仕方なく特許部を尋ねた新。
あの~・・・
こちらに瑛大さんっていらっしゃいます?
おっ!きたきた!
君が朔の言っていた新くんか。
ようこそ特許部へ。
はじめまして、よろしくおねがいします。
でも正直僕、なんで研究者が特許のことを学ぶ必要があるのか分からなくて・・・。
君は正直で良いね(笑)
あっそうだ、まずはじめに紹介しておくね。
彼は理人くん。
多磨大学から来た理人です。
学生で研究やってます。よろしくおねがいします。
理人くんはインターンシップで特許部に来ているんだ。
多分2人とも悩みは似ているから一緒に学んだいこう。
なんだか面倒なことになってきたな・・・
でも新くんの言う通りだね。
なんで研究者が特許のことを学ぶ必要があるか分からないとやる気も起きないよね。
えっと・・・すみません。
あやまることないよ。それじゃあ新くんに一つ質問。
研究者の役割ってなにかな?
う~ん・・・
何か新しいことを解き明かすこと?新しい製品を生み出すこと?
その通りだね。
でもさ…その新しいって一体なにかな?
・・・
そう言われると・・・。
意外と難しい質問だよね。僕の考えを言うね。
これまで世界中の人が明らかにしてきた沢山の技術があるよね。
それらに研究者達が個性あるアイデアを乗せて新しい技術が生まれると思うんだ。
なるほどです。1つ質問させて下さい。
企業と大学の研究者の違いはなんですか?
良い質問だね。
企業は利益を出す必要があるからね、基本的にはプロダクトやサービスを生み出すための研究をする。
大学はこれまで分かっていなかった原理を解明することがメインかな。
でも最近はこの2つが密接に協力して研究が進められているよ。
産学連携とかオープンイノベーションって言うね。
面白いですね。
これを繰り返せば世界にどんどん良い技術が生まれる。でも・・・
おっ!もしかして気付いたかな?
朔の言っていた通り新くんは鋭いね。
そう、実はこれには少し問題があるんだ。
ズルをする人が出てくる。
人のアイデアにただ乗りして真似するだけの人たち。
これじゃあせっかく技術を生み出しても利益が喰い散らかされちゃうね。
う~ん。
なるべく自分の技術を隠そうとするかな。
でもそれだともったいないですね。
何か個人プレーというか・・・
裏で同じ研究やっている人たちがたくさん出てきそう。
2人ともその通り!
この難しい問題を解決して世界中の研究開発を加速させる力を持っているのが特許という仕組みなんだ!
技術を生み出した人が国に出願して審査を突破すると特許という権利が貰える。
この権利は強力だよ。裁判を起こせば勝手に真似した人をやめさせたりお金を払って貰うこともできるからね。
へえ!それは凄い!
ただし!特許権をあげる代わりに、
研究者にはその技術の内容を丁寧に公開して貰う仕組みなんだ。
うっ・・・。
交換条件ってやつですか。
特許権は20年間という期限付きで、その後は誰でも自由にその技術を使えるようになるんだ。
それでも特許権は自分の技術を護ることができる強力な武器だよ。
まぁ仕方ないか・・・。
僕が伝えたいのはここからだよ。
特許権をとるのは自分だけじゃないよね?
!!
そっか!世界中の人が特許をとるために良い技術を公開しているんだ!!
やっぱり新くんはセンスが良いね。そうなんだ。
特許のことを知らないとどうなるか分かったかい?
・・・。
特許から情報を得ている人とそうでない人とでは研究に大きく差がつくと思います。
君の憧れている朔も毎日ライバルの特許を見ているよ。
・・・。
瑛大さん、僕にもっと特許のことを教えて貰えませんか?
もちろん、そのつもりだよ。
一緒に勉強してプロジェクトに良い商品アイデアを出そう。
!!
ありがとうございます!!僕、頑張ってみます!!
そして、理人くん。
特許の知識は企業で研究開発に携わるとすれば必ず役に立つときがくるよ。
よく分かりました。
僕も一緒に勉強したいです。
こうして始まった特許の勉強会。
果たして新は新商品開発プロジェクトで商品化を勝ち取れるのか!?
次回へ続く。
特許は早いモノ勝ち!?
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