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今回は、どなたでも気軽に立ち寄れる日本のセルフカフェチェーンで有名な『ドトールコーヒー』の商標出願を事例に、商標出願情報から分かることを見てみたいと思います。
『どのように企業分析に活用できるの?』
『ドトールはどんな商標を出願してきているの?』という方は、是非ご覧ください。
※本記事は、2023年12月時点での調査に基づいて執筆しております。
ドトール知財シリーズのもう一記事はこちら
(事業と知財の結びつき編)
ドトールロゴの商標出願を追う!
前回の記事は、商標のバリエーションからドトールの事業展開について調べていく内容でしたが、今回は、観察する商標を『ドトールのロゴマーク』に限定して、ドトールロゴマークの商標出願と、出願にかかる指定商品・役務を年代順に追っていき、読み取れることをまとめてみました!
まず、これまでのドトールのロゴマーク商標出願と、ドトールの主な沿革を並べてまとめた図がこちらです。
1979年に第一号のロゴ出願がスタートして以来、数年間隔でコンスタントに出願されているのが分かりますね。ロゴの見た目が変わっているところと、指定商品・役務が違う出願などが気になるところですね。
早速見ていきましょう。
ロゴマークの変遷は商標出願から確認できる
まずは、ロゴマークの印象が大きく変わったところに注目していきます!
ドトールコーヒーの商標出願情報を見ると、ロゴマークの変遷が商標出願と結びついていることが確認できました。ドトールに限らず、ロゴマークは出願している企業さんも多いと思いますし、ロゴマークの変遷が覗けるケースが多そうです。
ドトールコーヒーは、1980年に1号店がオープンしており、その前年にロゴが商標出願されていました!今のロゴに見慣れているためか、ぱっと見ただけではロゴとドトールコーヒーとが結びつかないですね。私だけでしょうか?
当時は、アルファベットが縦方向と横方向にスリットが入っているデザインだったのですね。
ドトールは1997年に現在のロゴに変更されたようですが、そのタイミングで新しいロゴが商標出願されていました!!
現在のデザインはこちらです。
一段のタイプのデザインと、二段タイプのデザインのものと、両方出願されていますね!スリットが縦向きのみとなり、コーヒー豆を連想するようなデザインとなりました!二番目の『O』だけが黄色く、少し傾いているのも素敵です。
公式ウェブサイト等でロゴマーク変遷についての情報が開示されている企業も多いと思いますが、商標から追ってみても、新しい発見があるかもしれません!!
画像引用元:ドトール公式サイト_ドトールのあゆみ https://www.doutor.co.jp/business/fc/about.html
参考記事:リブランディングと商標の例 https://toreru.jp/media/trademark/2924/
商標出願・新たな指定商品/役務は商品販売やサービス導入のサイン?
先ほどの出願の変遷を追ってみると、同じロゴマークに対して、商標出願の際に指定する商品・役務のバリエーションが少しずつ増えているのが分かります。
まずは2015年の商標出願について見てみましょう。
今までの、食品(29類、30類)や飲食物の提供(43類)とは少し路線の異なる、広告業(第35類)や支払決済(第36類)の役務が指定されています。ドトールの沿革と併せて見てみると…
画像引用元:ドトール公式サイト https://www.doutor.co.jp/dvc/
この年からバリューカードの導入が始まっていました!新サービスのリリースと商標出願が結びついています!
上記のドトールロゴの出願と同日に、『ドトールバリューカード』の商標も出願され、登録されています(商標登録5790220)。
続いて2022年の商標出願です。
この出願では幅広く商品・役務が指定されていました。具体的には、キーホルダーや文房具類から、鍋類、ポット、ティーセットまで。これは新しいサービスの展開が?と思い、調べてみると…
①ミニチュアマスコットチャーム
2021年、ミニチュアマスコットチャームが販売開始しました!カプセルトイでの販売からスタートし、一時期はドトールの店舗でも購入可能だったそうです!
画像引用元:ガシャポン公式サイト https://gashapon.jp/products/detail.php?jan_code=4549660608196000
②ドトールオンラインショップ
2021年に、ドトールの公式通販サイトがスタートしました。
画像引用元:ドトール公式サイト ニュースリリース https://www.doutor.co.jp/news/newsrelease/detail/20210414134201.html
オンラインショップを覗いてみると…
コーヒー豆やドリップカフェだけでなく、ドリッパーやマグカップ、コーヒーサーバーやペーパーフィルターなどまで購入可能のようです!!なるほど、先ほど上でご紹介した商標出願で幅広く商品が指定されていたのも納得です!
参考:ドトールオンラインショップ公式サイト https://onlineshop.doutor.co.jp/
まとめ
本記事では、ドトールの商標出願を事例に、商標出願情報から分かることを見てみました。商標出願情報からは、以下のようなことが分かりました。
①企業ロゴの変遷
②新商品の発売開始、新サービスの導入開始
このような情報はJ-PlatPatから検索可能なので、誰でも確認することができ、新サービスの予想などに活用できますね。逆に企業側の視点に立つと、商標出願情報は、出願タイミングから比較的短期間で公開される傾向にあるので、サービスリリースのタイミングを考慮して商標出願のタイミングを判断されているケースも考えられますね。
気になる企業の商標出願出願情報、是非一度覗いてみて下さい!
オモチさんが執筆される身近で楽しい記事をこれからもご期待ください!
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金田 有美子(通称オモチ)
略歴
弁理士として特許事務所で働く傍ら、身近な商品・サービスと知財をテーマに記事執筆をしています。企業知財経験もあります。
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