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今回は、どなたでも気軽に立ち寄れる日本のセルフカフェチェーンで有名な『ドトールコーヒー』にまつわる知財について紹介いたします!
『ドトールコーヒーも特許取得しているの?』
『ドトールは知財をどのように事業に活用しているの?』という方は、是非ご覧ください。
※本記事は、2023年12月時点での調査に基づいて執筆しております。
出店も 特許出願も 先発だったドトール
ところで、ドトールコーヒーの出店開始はいつ頃だったか覚えていますか?
ドトールコーヒーは、1980年に出店が始まったそうです。スターバックスコーヒー(以下、スタバとします)の日本上陸(1996年)よりも、10年以上早いタイミングだったのですね!
ドトールは、出店直後の1983年に第1号となる出願(実用新案)を行っております。1990年代の前半には、比較的集中した件数の特許出願が確認できました。
特許出願の内容を見てみると、コーヒー豆の焙煎方法やその装置、コーヒー抽出具などが出願されていました。ちなみに、第1号の実用新案登録出願は、飲料提供時は蓋になり、濾し器の受け皿になる機能のある濾し器セットでした。
このように、日本での出店だけでなく特許出願についても、ドトールがスタバよりも先手を打つという状況でした。出願されている特許の内容も、多岐にわたっている印象を受けます。
1990年代はドトールからコンスタントに特許出願している様子が見られますが、2000年を過ぎたころから、突然出願がぱたりとなくなってしまいました。
このあたりから、ドトールコーヒーは特許出願に対する方針の転換があったのかもしれませんね。
一方で、商標についてはコンスタントな出願が確認できました。ドトールの事業との結びつきとあわせてご紹介していきます!
コンスタントな商標出願から見える新業態の展開
さて、ドトールコーヒーといえば…
街の至るところにあり、気軽に入れて、おいしいコーヒーとともにちょっとしたフードもいただける…というようなイメージがあります。ブランドイメージは『さりげなく小粋』だとか。白と黒を基調としたシンプルなロゴ、おしゃれ過ぎずカジュアルな店内。ちょっと時間があるからと、立ち寄りやすい印象がありますよね!
実は、ここ10年ほど、そんなドトールが幅広いバリエーションの新業態カフェをオープンしているのをご存知ですか???
ドトール公式サイト_ブランドのご案内に基づき筆者作成
それぞれ異なるコンセプトを持ち、さらに、これらのロゴは全て商標登録されています。
※ドトールドッグカフェについては、2013年に第1号店が出店されていますが、2020年にロゴ変更のあったタイミングで、新しいロゴが商標登録されていました。
特に気になるカフェをいくつかピックアップしてご紹介しますね。
ドトール珈琲農園
画像引用元:ドトール珈琲農園公式サイト
商標登録6057582(J-PlatPatリンク)
商標登録6057583(J-PlatPatリンク)
コンセプトは、『Welcome to the Farm』。
珈琲農園主の邸宅に招かれたような上質な空間で、心ゆくまで珈琲の味わいを愉しむ。
ここ、ドトールコーヒーなの?という外観です。
スペシャルティ豆を使用したハイクラスのブレンドコーヒーがあり、コーヒー1杯の値段が比較的高価です。
スターバックスにも『スターバックスリザーブ』のブランドで、高価なコーヒーを提供する店舗を展開しており、それに近いのかな?という印象がありますが、店舗の雰囲気を見てみると、スターバックスの世界観とはまた異なり、まるで誰かのお宅にお招きいただいたような、邸宅をイメージして作られているので、その点で差別化されていますね。
DOUTOR STAND(ドトールスタンド)
商標登録6707892(J-PlatPatリンク)
商標登録6707893(J-PlatPatリンク)
本記事の執筆時点(2023.12)ではあまり情報が多くなかったのですが、途中で気軽に立ち寄れる、『コーヒースタンド』をイメージした業態なのではないかと思います!まだ国内に数店舗しか展開されていないようですが、テイクアウト可能な商品ばかりで、食べやすいフードメニューが揃っています!
現在は、EneJetやDr.Drive(いずれもENEOS系列)に併設されている店舗がほとんどです。目的地へ向かう途中、給油に立ち寄るついでに、コーヒーや軽食をテイクアウトしていく、という利用シーンが浮かびますね!
ホットドッグとコーヒーカップのかわいらしいロゴマークも登録されています。親しみやすく、少し立ち寄っていこうかな?という気分になりそうです!
このように、ドトールは新業態を展開しており、展開するタイミングで商標を出願・登録していることが分かりました。それぞれの業態のブランド力を商標で護っている様子が窺えますね。
まとめ
身近なセルフカフェチェーン『ドトールコーヒー』は、多くの知財でそのブランド力を築いていることが分かりました。特許については途中で戦略方針が変わったためか、ある時点から出願が確認できませんでしたが、商標についてはコンスタントに、さらには新業態の展開に合わせて多くの出願・登録が確認できました。
次回記事は、このドトールの商標出願を事例として、『商標出願状況から分かること』についてまとめてみようと思います。
オモチさんが執筆される身近で楽しい記事をこれからもご期待ください!
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作家名
金田 有美子(通称オモチ)
略歴
弁理士として特許事務所で働く傍ら、身近な商品・サービスと知財をテーマに記事執筆をしています。企業知財経験もあります。
現所属先
弁理士法人IPX
https://ipx.tokyo/member/yumiko_kanada/
BAMBOO INCUBATOR 専門家メンバー
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