身近な商品・サービスと知財のページへようこそ!
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今回は、セブンイレブンの商品をスマホで注文し、最短20分でユーザへお届けするサービス、「7NOW」に関する記事です。
注文から20分でお届けとなると、店舗の在庫をいち早く調べ、適切な配送者とマッチングする必要がありそうですね。このような課題解決に関連する特許をセブンイレブンが出願・権利化している情報を確認したので、本記事にてご紹介いたします。
「7NOWってどんなサービスなの?」 「セブンイレブンはどんな特許を出願しているの?」 と気になる方は、是非ご覧ください。
※本記事は、2024年4月時点での調査に基づいて執筆しております。
7NOWサービスとは
「いつでも」「いますぐ」「どこにでも」の実現を目指して、お客様のスマートフォンからご注文いただくと店頭で販売している商品約2,800品の中からご希望のものを最短20分でご指定の場所へお届けするサービスです。
【引用元】セブン・イレブン公式サイト
現在は、九州エリアを中心に北海道・関東で実施されています(2024年4月時点)。2024年度中に全国展開を目指し、拡大予定のようです。
ここ数年で、Uber Eatsやネットスーパーなど、配送サービスが充実している傾向にありますね。中でも「最短20分でお届けできる」というスピードはインパクトがあります。これを実現できるのは、全国に膨大な店舗数を構えるセブンイレブンだからこそ、なのかもしれません。
ちょっとのお買い物のために、身支度するのが面倒だな・・・
小さな子供を連れて出るのが大変・・・
(でも、今欲しい!!)
というシチュエーションは、日常にあふれています。
会社にいて勤務中という状況であればなおさら、ちょっとのお買い物に出られないこともありますよね。そんなニーズに応えてくれるサービスですね。
さっそくアプリを見てみました。
日用品からお惣菜まで、たくさんの種類の商品が並んでいます!これだけ種類が豊富なら、店舗にあるはずの商品が配達だと買えなかった・・・という不便さもあまり感じなさそうですね!!
そして、本当に20分程度でお届けしてくれるようです。素晴らしいですね!
(私の住む地域はまだ対象エリア外なので、勤務先を設定してみました!)
この「7NOW」サービスに関連しそうな特許を2件見つけましたので、ご紹介します。
配達時間目安はどのように算出している?(特許第7470884号)
まずは、注文時に表示される配達時間目安の算出方法について出願・権利化されている特許を見つけましたのでご紹介します。
番号:特許7470884号
発明の名称:情報処理装置及び方法
出願人:株式会社セブン&アイ・ホールディングス
出願日:令和6年2月14日(2024.2.14)
ステータス:登録
早期審査対象出願
具体的には、ユーザから注文を受け付けたタイミングで出てくる、配送目安時間(お届け予定時間)をどうやって算出しているの?という発明が記載されています。
ユーザから注文を受け付けたタイミングで、候補となる配達員それぞれの位置情報をもとに予測した配送員の移動時間に基づき、目安の時間を算出しています。
ここでポイントとなっていたのが、下記の2点です。
①各配送員の移動時間が、『配送員の状況』を考慮して算出されている
②各配送員の『配送担当になる確率』を考慮して配送目安時間を算出している
まず①については下記の図のように、「配送員が他の配送担当になっているか」否かで移動時間の決定方法を変えています。他の配送担当である場合は、まずは今担当している配達を完了させ、その後に初めて店舗へ商品を受け取りに行くことができます。
【画像引用元】特許7470884号 図5~図7
配送員の現在位置と店舗との距離を単純に算出しているわけではないのですね。
②については、①で算出した各配送員の移動時間に応じて「配送員が本件の配送担当になる確率」を決定し、重み付けすることで配送目安時間としています(明細書中の加重平均に相当)
例えば、移動時間が5分未満の配送員が配送担当になる確率を30%とし、移動時間が5分以上10分未満の配送員が配送担当になる確率を25%とし、移動時間が10分以上15分未満の配送員が配送担当になる確率を18%とし、移動時間が15分以上20分未満の配送員が配送担当になる確率を11%とし、…などのように設定してもよい。
特許7470884号の段落【0062】
一見、当たり前のようにユーザに表示されているお届け時間の目安は、このようにしてより精度を上げるための工夫がされていました!
配送員と店員の連携の工夫はどのようにしている?(特許7407331)
続いて、配送員と各コンビニの店員との連携の工夫について特許出願・権利化されていましたので、簡単にご紹介します!この部分はユーザ側からは見られないところなので、個人的には興味深かったです!
番号:特許7407331号
発明の名称:店舗用端末装置、方法、プログラム及び情報処理装置
出願人:株式会社セブン-イレブン・ジャパン
出願日:令和5年10月23日(2023.10.23)
ステータス:登録
まず、店員さんの作業からスタートです。
ユーザから注文を受け付け、店内を周り、注文された商品の全てを取り揃えます。
続いて、その商品に対してバーコード読み取りを行っているようです。
お客さんが箸や保冷剤を希望されていたら、店員さんの端末に下記のような確認画面が表示され、商品と一緒に揃えておきます。
【画像引用元】特許7407331号 図4
そして、端末を介して配送員を呼び出す処理をします!
【画像引用元】特許7407331号 図3
さらに、配送員が来るまでの間に、商品保管場所と配送員へのひとことメモを登録しておきます。
【画像引用元】特許7407331号 図7
たとえば、要冷蔵の商品は冷蔵庫で保管するでしょうし、複数の棚に分かれて商品を置いておくケースも予想されますね。
店員が登録した商品保管場所とメモは、配送員の端末から見ることができるので、商品の保管場所を把握することができます。
よって、店員と配送員が都度直接申し送りをすることなく、配送員への商品の受け渡しが効率的にできるのですね!
これなら配達の注文がたくさん増えても問題なさそうです!
まとめ
ここ近年で急に加速した配達サービスですが、その中でも「注文の受け付けから最短20分」で自宅にお届けしてもらえるのはかなりインパクトがあります。短時間で確実にお届けするためには、上記でご紹介したような効率化が必要になりそうです。この点について、セブンイレブンが積極的に出願・権利化をしていることが確認できましたね。
7NOWは、現在(2024年5月時点)は一部地域のみで提供されるサービスとなっていますが、全国展開を見据えているようです。私の住む地域でもいずれ利用できるようになりそうですね、今から楽しみです!!
7NOWは、現在(2024年5月時点)は一部地域のみで提供されるサービスとなっていますが、全国展開を見据えているようです。私の住む地域でもいずれ利用できるようになりそうですね、今から楽しみです!!
オモチさんが執筆される身近で楽しい記事をこれからもご期待ください!
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作家名
金田 有美子(通称オモチ)
略歴
弁理士として特許事務所で働く傍ら、身近な商品・サービスと知財をテーマに記事執筆をしています。企業知財経験もあります。
現所属先
弁理士法人IPX
https://ipx.tokyo/member/yumiko_kanada/
BAMBOO INCUBATOR 専門家メンバー
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